小説・コラム

小説 『編入』#10 第二章⑧

小説編入イメージ

ついに新学年がはじまりました。これから大学生として始める方、大学院生になる方、はたまた社会人になった方は良い新生活をスタートしていると願っております!

さて、今週もやってまいりました。毎週金曜日20時投稿の連載記事である編入小説『編入』のコーナーです。

この連載では、「世の中の多くの人に大学編入を知ってほしい!」、「転職するように、自由に大学に移れることが当たり前の世の中にしたい!」という想いを実現するための私たちの活動の一環です。

大学編入を専門としているメディアであるTrask(トラスク)では、この小説を通して、多くの方に大学編入を知ってもらいたいと考えております。

さらには編入を志望するすべての方にフィクションではありながらも、編入した先輩の実話を元にした作品を通して、実際の編入試験のイメージを持ってもらい、合格の一助となることができればと考えております。

ぜひ、周りのご友人やご家族にシェアいただけると幸いです!

著者プロフィール

ハマダ傘写真

濱田 友来人(ハマダ ユクト)

平成7年生まれ。熊本県熊本市出身。
高校卒業後上京し、専門学校神田外語学院に入学。同学校卒業後、そこで培った経験や学びを活かし、4年制大学に3年次編入。
現在は執筆業、FXトレーダー業を主軸に活動しながらも、自らが掲げている「限りなき挑戦」という理念の下、上述した以外のことにも力を入れている。
趣味はゴールドジムでの筋力トレーニング。



#10 第二章 『TOEICを攻略せよ!』⑧

・・・

 

6日目の授業が終わり夕食を済ませ、スープを取りにラウンジへと向かうと、机にはいつもどおり菜奈がいたが、この日は珍しく琴音も一緒にいた。

「あ、ケンだ!」

琴音の声はなかなか大きかった。

「ちょっと、コンソメスープ飲みたくなってさ」

「このあとすぐに戻る?」

琴音が聞いてきた。

「うん、そのつもりだけど」

「今日さ、ここで一緒に勉強しない?菜奈もそれでいいよね?」

「えっ、いいけど」

「たまにはそういうのもいいね!」

「ならすぐに勉強道具持ってきて!」

「りょ、りょうかーい」

「あ、ケン。それとカップ麺3人分持ってきてー」

「はいよー」

僕はすぐに準備してラウンジに戻った。

部屋を出るときに、橙哉に「どこ行くの?」と聞かれたが、「ちょっと気分変えて違うところで勉強してくるよ」と誤魔化した。

さすがに、あんなに黙々と勉強しているルームメイトの前で、「かわいい女の子とわいわい話しながら勉強してくる」なんて言えない。見つかったら半殺しにされるなと思った。

こうやって3人で勉強する光景は、僕にとってはかなり不思議だった。

琴音が口を開いた。

「あ、そういえばこの前のディズニー、ケンを半分騙したカタチになっちゃってごめんね?」

「あぁ、菜奈とジーコのことか。別に大丈夫だよ、めっちゃ楽しかったし」

「よかった、ありがと」

「菜奈とジーコがカップルになれてよかったよ」

「あー、私も早く彼氏できないかなー」

「琴音、いま恋人いないの?」

「いないよ!じゃないと男の子と一緒にディズニーなんか行かないよ」

「そ、そうだよね(笑)」

僕はこれまでにないくらいに安心してしまった。

「琴音にはきっといい人が見つかるよ」

「うん、そうだよ!そしたらわたしがキューピットになるよー」

と菜奈はそう言うと、僕の方をチラッと見てニヤっとした。

「ケンも菜奈もありがとう」

琴音はそう言ったが、表情は少し曇っていた。

 

7日目、8日目、9日目と同じように授業、自主勉強が続き、ついに10日目の授業最終日になった。

今日は合宿の集大成を見せる模擬TOEICを受ける日である。正式なものではないが、毎年このTOEICでスコアアップを成し遂げる生徒が結構多いので、みんな張り切っていた。

僕はというと、これまでの授業による疲労がたまっていたので、あんまりやる気は出なかったのだが、これまでの勉強の成果を見せる場なので、心の中でひっそりと期待はしていた。
10時に試験が開始し、まずはいつも通りリスニングパートから始まった。

今回はTOEICの音声が遅く聞こえた。合宿の成果が出ているようだ。問題を解きながら、誰にも目立たないようにガッツポーズをした。

次はリーディングパート。これも合宿中は吐きそうになるくらい問題を解きまくっていたので、以前より英文が読めるようになっていた。そして僕はTOEICを受けて初めて問題をすべて解き終わったのである!

終わりの時間が鳴り、これで合宿すべてのプログラムが終了した。 僕は緊張感が解け、教室の天井を向いてぐったりとしていた。

すると「ペチッ」と誰かに軽くビンタされた。

「まだこれから採点が残ってるでしょー。ケンの席で答えが止まってるから早く回して」

菜奈が若干怒ったように言った。

「あぁ、わりい」

今回の模擬TOEICは正式ではないため、自分たちで採点するのだ。 僕は問題を解き終わった達成感で、自分で採点しなければいけないということをすっかり忘れていた。

200問の問題を自分で丸つけしないといけないのはちょっと面倒だと思ったが、今回のTOEICでどれだけ取れたのかがすごく気になった。

今回は結構いけてる!と、かなり期待していた。果たして合宿を終えた自分はどれだけ取れているのか。

結果は予想外のスコアであった。

推定スコア500・・・

「下がってるじゃん!」

僕は半分怒り、もう半分は驚きの感情を込めて教室いっぱいにそう叫んだ。
ハッと我に返ると、周りの人がクスクス笑ってるのが聞こえた。

僕は叫んでしまったことを恥じた。

「おいおい、驚かせるなよ」

隣にいた大智さんが呆れたように僕に言った。

「もー驚かさないでよね。こんなケン初めて見たよー」

うしろにいた菜奈に背中をど突かれた。 たまたま近くを通っていたジョナサンが、

「今日はちょっと疲れてたんでしょう。ケンのようにここでは結果が出なくても、今後受けるTOEICで必ず成果は出るからそんなに焦らずにファイトですよ!」

と励ましてくれた。 僕は思わず泣きそうになった。 試験が終わってから、夕食まで時間があったので、僕は体を動かそうと夕食の時間になるまでバスケをした。

誘ったらみんなノリがよくトータルで12人も集まってくれたので、本当の試合形式でバスケをひたすら楽しんだ。 観客として20人以上の女子たちが見に来てくれたので、プレーをしていたメンバーはスーパーハイテンションになっていた。

その中には、菜奈が半ば強引に連れてきた琴音もいたので、僕はいろいろな意味で本気になった。 僕は高校の体育の授業でしかバスケをしたことはなかったが、なぜか元バスケ部に引けを取らないくらいにうまくプレーできた。

3ポイントシュートを3回決めることができた。決めたあと、菜奈と琴音の方を振り向くと、2人ともものすごく喜んでくれていたので、僕のテンションはさらに高くなった。
しかし、そのおかげで次の日はとんでもないほどの筋肉痛になったことは言うまでもない。
その後のディナーでは、大広間を使ってパーティーが行われた。

豪華な料理をお腹いっぱい食べると、急に眠くなったので、僕は一人会場を出て1時間ほど仮眠を取るために部屋に戻った。

視界が急に明るくなったので目を覚ますと、部屋のメンバーが帰ってきていた。 時計を見るとすでに10時を越えていた。僕は自分で思っていたよりも長く爆睡してしまっていたようだ。

「こんな時間まで寝てたら夜眠れなくなるぞ」

帰ってきていたのは彰人だけで、他のメンバーはみなハブで酒を飲んでいるのだそうだ。

「いまさら飲みに行くのもあれだし、今日は部屋でゆっくりするか」

「飲むって、お前まだ未成年だろ(笑)」

「いやいや、飲むとしても俺はコーラしか飲まないよ」

「真面目かよ(笑)」

彰人はそう言うと、また外の方に出て行った。 僕は喉が渇いたので、近くの自販機でコーラを買いに行った。 その途中、なんと琴音とばったり出くわしたのだ。

「あ、ケン。仮眠は取った?」

なんで琴音は僕が仮眠を取っていたことを知っているのだろう。でも、今の僕はそのことを考える暇はなかった。なぜなら、薄暗い夜の道で琴音と2人きりだからだ!

「うん、ちょっと寝すぎたかな(苦笑)。あれ、菜奈は一緒じゃないの?」

「菜奈はまだハブで飲んでるよ。あの子、大丈夫かな、もともとそんなに強くはないから。あんまり無理しないで欲しいけど」

「ハハハ、菜奈はそういうところあるからなー」

「ケンもハブに行くの?」

「いや、ちょっと喉渇いたから自販機でコーラを」

「そうなんだ、このあと何かある?」

「特には。部屋でゆっくりするつもりだけど」

「じゃあさ、ちょっと私につきあってよ。散歩しよ」

「えっ?うん、いいよ」

と、何気なく返事したが、実際は超絶嬉しかった。 あの琴音が僕を散歩に誘った?どういうことだ?これは夢なのか?何かものすごい力が働いて僕に奇跡が起きてるようだ。
缶を開け、一気にコーラを飲み干した。

いつもとは違う味がした。今日のコーラはさっき食べた豪華な料理よりも美味しく感じた。料理を作ってくれたシェフに申し訳ないと思った。

僕たちは敷地内を一周することにした。最初に琴音と会ったときは、何を話せばいいのかよく分からなかったが、いまでは随分と気軽に琴音と話すことができていた。

しかし、それは菜奈がいたからであり、2人きりになるとやっぱり緊張した。何から話せばいいのだろうか。 と、思ってた矢先、琴音が口を開いた。

「今日のケン、カッコよかったよ。キュンとしちゃった」

「あ、バスケのときか。へへ、ありがとう。なんか照れるな。あのときはプレーに夢中になってたけど、シュート決めたときは2人の方を見ちゃってた。ちゃんと見てくれてたかなって」

「ちゃんと見てたよ。いや、ずっと、、、」

「ハハハ、なんか恥ずかしいな」

自分は何を話しているのかよく分からなかった。

「ケン、あ、あの。残りの夏休みさ。ひま?」

「う、うん。ひま」

「もしよかったらどこか行かない?2人で」

僕はこの言葉の意味を理解するのに数秒かかった。咀嚼したあと、ようやく意味が分かった。琴音は僕にデートしようと言ってきたのだ。 僕は驚きを隠しきれず、琴音をまじまじと見ていたが、琴音は僕を見つめて微笑んでいた。

「うん、全然大丈夫だよ!」

「よかったー。断られたらどうしようかと思った」

「俺なんかでいいの?」

「ケンじゃないと・・・」

「そ、そっか」

「でさ、ケンどこか行ってみたいところある?」

「んー、そうだな。あ、そういえばスカイツリーはまだ行ったことなかったな」

「そうなんだ、ならそこ行こうよ!あとさ、浅草も近いからそこにも行かない?」

「浅草もいいね!じゃあ、場所はその2つで!」

盛り上がっていると、時間は早く過ぎるものだなと改めて思った。気がつくと、すでに敷地内を一周していた。1時間はかかっていた。

「なら、今日はもう遅いから部屋に戻ろっか。ケン待たね!」

「うん、おやすみ!」

しばらくそこに突っ立ていた。この時間のことを整理して、こう思った。

「生きててよかった」

翌朝、急いで起きて荷物をまとめると、すでに帰りのバスが到着していた。 僕らの部屋のメンバーはみんな支度が遅かったので、他の部屋の人に迷惑をかけていた。 なんとか時間ギリギリセーフでバスに乗り込むと、すぐに東京へ出発した。

窓を開けると、山の麓がとても澄んでいて、いつまでもこの空気を吸っていたかった。

 

・・・・

 


10話は以上です。TOEIC合宿が遂に終わり、進んだ部分と進まなかった部分が浮き彫りになりました。果たして、ケンは次のTOEICでスコアを伸ばすことができるのか!恋の行方の方も大変興味深いですね!(笑)

TOEICでは、点数が下がることは往々にしてあるため、編入志望者の皆様は諦めずに、粘り強くチャレンジしていただければと思います。

次の更新は、4/19(金)20:00です。お楽しみに!

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