小説・コラム

小説 『編入』#13 第二章⑪

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平成も終わり、新たな時代である令和がはじまりましたね。みなさんは令和をどんな時代にしていきたいですか?平和で良い時代になればいいですね!

さて、今週もやってまいりました!毎週金曜日20時投稿の連載記事である編入小説『編入』のコーナーです。

この連載では、「世の中の多くの人に大学編入を知ってほしい!」、「転職するように、自由に大学に移れることが当たり前の世の中にしたい!」という想いを実現するための私たちの活動の一環です。

大学編入を専門としているメディアであるTrask(トラスク)では、この小説を通して、多くの方に大学編入を知ってもらいたいと考えております。

さらには編入を志望するすべての方にフィクションではありながらも、編入した先輩の実話を元にした作品を通して、実際の編入試験のイメージを持ってもらい、合格の一助になればと考えております。

ぜひ、周りのご友人やご家族にシェアいただけると幸いです!

著者プロフィール

ハマダ傘写真

濱田 友来人(ハマダ ユクト)

平成7年生まれ。熊本県熊本市出身。
高校卒業後上京し、専門学校神田外語学院に入学。同学校卒業後、そこで培った経験や学びを活かし、4年制大学に3年次編入。
現在は執筆業、FXトレーダー業を主軸に活動しながらも、自らが掲げている「限りなき挑戦」という理念の下、上述した以外のことにも挑戦している。
趣味はゴールドジムでの筋力トレーニング。



#13 第二章 『TOEICを攻略せよ!』⑪

・・・・

季節は12月になり、もうすぐクリスマスの時期になる。

東京の街はもちろん、ここ東京外国語専門学校もクリスマスイベントで周囲は湧いていた。

もちろん、僕は当日はハニーとデートする予定なので(やっぱりディズニー)、その日が待ちどおしかったのだが、心は完全には浮かれてなかった。

TOEICのスコアがあまり上がってなかったからである。

年末までには700を越えるという目標を立てていたが、現在のスコアは650。目標には程遠かったし、もはや絶望的だった。

せっかくジョナサンに良いアドバイスを教えてもらったのに結果が出ず、すごく申し訳ない気持ちだった。

「大丈夫だよー、まだ最後にチャンスがあるでしょ?」

そう声をかけてくれたのは同じ英語のクラスの菜奈だった。

「そうなんだけどさ。年明けまで1ヶ月もないこの時期に50もスコアアップって結構厳しくないか?」

「ケン、なんか焦ってない?編入の勉強が本格的に始まるのは2年生になってからでしょ?もう少しスローダウンしていいと思うけど」

「いや、それじゃ遅いんだ。今年度末までにはTOEICは終わらせないと。それに、一度立てた目標を簡単に曲げちゃいけないって思うんだよ」

その理由もあるにはあったが、本当は他の仲間に遅れを取っていることからの嫉妬や焦りが大きかった。

ジーコは695とあと一歩のところだったし、観光科の友人、彰人はすでに730を取っていた。

琴音はもとから英語はできたので、770と800まであと一歩のところだ。

しかし、僕を一番嫉妬させたのは菜奈だった。11月に受けたTOEICで705を叩き出したのである。

低いレベルの英語のクラスでお互いに頑張ってきた菜奈だからこそ余計腹立たしくなるのである。

その菜奈から焦らずに頑張れと声かけられたのは、もう嫌味にしか聞こえなかったのだ。本人は良心で言ったのだろうが、僕にはそう取ることがどうしてもできなかった。同時に、こんな風に思う僕にも腹が立った。

性格が悪いのは自分でもよく分かっている。直さないといけないのは常々思っているのだが、やはりそう思ってしまう。そんな気持ちが余計僕を苦しめた

 

中旬、今年最後のTOEICを受ける日がやってきた。

今日の僕は目標達成のプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。

だが、ここで負けていては本番の編入の試験では絶対に良いパフォーマンスを出すことはできない。

自分が立てた目標を絶対に達成したかった。

 

無事試験が終了し、すべての気力を出し切った。正直なところ、あまり自信はない。でも、今回は自分の力を信じていたかった。

年明けに本館の入り口でスコアシートをもらうことで今日の結果が分かる。つまり、年内までにスコア700を達成したかどうかは年が明けてから知ることになる。

いや、色々考えても結果は変わらない。潔く切り替えてクリスマスと年末年始のイベントを楽しむことにしよう。

 

24日、僕は駅で待ち合わせしていた。10分前に着き、しばらくして待ち人が来た。

「ケン、お待たせ!待った?」

「いや、俺も今来たところだよ」

ここはカッコよくお決まりのセリフを言う。

「じゃ、早速パークインしようか」

「うん!最高のイブにしよう!」

この日は3ヶ月前から計画していたことだ。

きっかけは琴音がクリスマスの予定を決めたいということだったが、僕は正直まだ早くないかと思っていた。

クリスマスだからやはりディズニーになるだろうと思っていたが、案の定そうだった。

琴音いわく、ディズニーのクリスマスはすごく混むのだそうで、早めにレストランやホテルの予約を取らないといけないらしかった。

最初はさすがの僕も戸惑ってしまったが、琴音のディズニーに対する愛とそれに伴う情熱のこもった説得により、僕も早めにクリスマスの計画を立てることに積極的になった。

1泊2日でリゾートを楽しむ計画で、ホテルはミラコスタのかなり良い部屋を取り、両日のディナーも相当高級なレストランを予約した。

そのおかげで軽く5万円は吹っ飛んでしまったが、それ以上に楽しめたので良かったと思う。


クリスマスを琴音と過ごし、それが終わると僕は熊本に帰省することにした。実に9ヶ月ぶりだった。

東京に出てきてすっかり東京の暮らしに染まってしまっていたため、熊本に帰ることに対してどこか新鮮さを感じた。

まだ卒業して1年も経っていなかったが、高校までの記憶がもう3年くらい前のように感じた。なので、熊本に帰るのも3年ぶりくらいに感じた。

それだけ東京での暮らしが濃かったのだろう。

なにより僕の芯が根本的に変わった出来事であったから、ターニングポイントと言ってもいい。

まだたいした結果は出していなかったが、九州から出てきて本当に良かったと思っている。

そう考えると、高校の3年間がものすごく薄っぺらい記憶に思えてきた。

高校時代は全体的に言うと、完全に受身の人生だった。

先生に言われたことをやり、なんとなく勉強し、また部活でも顧問、コーチ、先輩達の言うことをひたすら聞いて何となく練習していた感じだった。

だから、部活でも最後の大会である総体では、試合に負けても特に泣きはしなかったし、受験勉強についても一般受験では完全に受け身の態勢で勉強してたので、受けた大学に落ちて当然だった。

しかし、そんな僕でも東京に来てからは自ら主体的に目標を決めてそれに向かって努力できている。まだプロセスの途中だし、決してたやすい道のりではないが、くじけることなく最後まで貫いていけそうだ。

たぶん、自分で考えて積極的に行動することは人生で初めてだ。東京に来たからこそ、自分を根本的に変えられたし、今の自分がある。いろいろな意味で自分を大きくすることができた。もちろん、まだ道の途中だが。

たまに、もし僕が高校卒業したあとも熊本から出てなかったら、今の自分はどうなっていただろうかと考えることがある。

おそらく、自分を変えられなかったであろう。なんとなく浪人してなんとなく勉強し、適当な大学にしか合格できなかったと思う。そう考えるとゾッとしてしまう。

上京してから僕の人生の視野が広くなった。本当に感謝している。

それと、僕を東京に行かせてくれた母や親戚のためにもしっかりと結果を出さないといけない。

飛行機で1時間半かけて羽田空港から熊本空港に着き、久しぶりに故郷に着いた。 

熊本に帰ってきて少しゆっくりしたかったのだが、母の職場のアルバイトをすることになり、この2週間はそれでほとんど消化してしまった。

せっかくの大晦日もバイトの疲れで寝ている間に年を越してしまった。

ちなみに勉強はほとんどできていなかった。

ある程度は想定していたが、やはりアルバイトをしていると、それで疲れて勉強がおぼつかなくなる。編入の勉強が終わるまではバイトはできないなと思った。

そんなこんなであっという間に熊本の2週間が過ぎ、東京に帰る日になってしまった。

あまり口に出してはいけないが、何のために帰ったのか分からなかった。

 

年が明けてから、3学期が始まった。

僕は年末に受けたTOEICのスコアシートを受け取った。

受け取る瞬間は毎回緊張するのだが、今回は特別緊張してしまった。胸の鼓動がドクンドクンと聞こえてくる。

少し震えた手で僕は返ってくるスコアシートを受け取った。

裏返しで渡してくれるので、おそるおそる表向きに返した。

頼む・・・。

僕は閉じていた目をパッと開いた。


・・・705。

 
最初はこの数字の意味を理解できなかったが、数秒後にはそれが意味していることを飲み込むことができた。

目標を達成した。

僕はゆっくりと安堵の表情を浮かべた。

ひとまず、中期的な目標は達成したので今日は大げさに喜ぶことにした。

・・・・


13話は以上です。これまでのTOEICに費やしてきた努力の時間がついに報われることになりました。実際の編入試験対策の中で行うTOEICも、しっかりと準備と対策を行えばケンローのように目標を達成することは十分に可能です。トラスクでは、TOEIC対策の以下のような記事も出しています。参考にしてみてください。

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ぜひ、この小説を通して、編入試験に多くの方にチャレンジするようになれば幸いです。

次の更新は、5/17(金)20:00です。お楽しみに!

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