小説・コラム

小説 『編入』#14 第二章⑫

小説編入イメージ

気温も高くなってきて、そろそろ梅雨の時期に入ってきますが、いかがお過ごしでしょうか? 文系編入でも、大学によってはそろそろ試験がはじまるところもあるので、試験が近い方は気を引き締めましょう!

さて、今週もやってまいりました!毎週金曜日20時投稿の連載記事である編入小説『編入』のコーナーです。

この連載では、「世の中の多くの人に大学編入を知ってほしい!」、「転職するように、自由に大学に移れることが当たり前の世の中にしたい!」という想いを実現するための私たちの活動の一環です。

大学編入を専門としているメディアであるTrask(トラスク)では、この小説を通して、多くの方に大学編入を知ってもらいたいと考えております。

さらには編入を志望するすべての方にフィクションではありながらも、編入した先輩の実話を元にした作品を通して、実際の編入試験のイメージを持ってもらい、合格の一助となることができればと考えております。

ぜひ、周りのご友人やご家族にシェアいただけると幸いです!

 

※今回のお話の中で一点留意事項がございます。小説内にも記載がありますが、本小説の中での試験内容は2015年時のもので現在とは異なっている点にはご留意ください。

著者プロフィール

ハマダ傘写真

濱田 友来人(ハマダ ユクト)

平成7年生まれ。熊本県熊本市出身。
高校卒業後上京し、専門学校神田外語学院に入学。同学校卒業後、そこで培った経験や学びを活かし、4年制大学に3年次編入。
現在は執筆業、FXトレーダー業を主軸に活動しながらも、自らが掲げている「限りなき挑戦」という理念の下、上述した以外のことにも挑戦している。
趣味はゴールドジムでの筋力トレーニング。



#14 第二章 『TOEICを攻略せよ!』⑫

・・・・

3学期。この学期は1、2学期とは大きく異なる部分がある。

それは、1、2学期ではすべての授業が学校側で決められていたのとは違い、ビジネスキャリアの授業以外はすべて自分で選択してカリキュラムを組むことができるということである。

この学校は思ってたよりも授業の数が多くあり、面白そうな授業はたくさんあったのだが、僕は必要な授業だけを取った。

何を取ったのかというと、「TOEICリーディング上級」講座(上級とは、スコア700以上を保持している人のみ受けられる)、「TOEICリスニング上級」講座、「編入学対策講座」、「編入学経済系小論文プレ学期」を履修した。

「編入学対策講座」は編入学に関する基礎知識を編入センターの先生が教えてくれる講座である。

必要だと思って履修したのだが、内容はこれまでに陶山先生と話したことばっかりだったので、正直時間の無駄だと思った。僕は隠れて読書にふけっていた。

その講座は出席カードを出せばそれで大丈夫だったので、隠れて読書していてもなんの問題もなかったし、担当している編入センターの先生も僕が度々編入センターに足を運んでいたことは知っていたので、授業に出てるだけで他のことをしていても良いというお墨付きを得ていた。

「編入学経済系小論文プレ学期」は文字通り小論文を書く練習をする講座である。

のちにも小論文の説明は詳しくするが、一口に小論文と言っても受ける学部によって考え方が違う。なので、経済系の学部に編入したかったら経済系に特化した小論文の講座を取らないといけない。

もちろん、他にも「編入学文学系小論文プレ学期」や「編入学社会学系小論文プレ学期」という科目もある。

なぜ、講座名に「プレ学期」という文字が入っているのかというと、小論文を本格的に書き始めるのは2年生の1学期になってからだからである。

小論文は受験者の意見やアイデアを書くものなので、それを書く訓練をするために専門科目に比べて時間がかかってしまう。だから本格的に始める前に先行して小論文を書く訓練を今のうちからしておこう、という意味での「プレ学期」、いわゆる0学期ということなのである。ちなみに「編入学経済系小論文プレ学期」の担当講師は陶山先生である。

小論文講座は放課後に開かれるので、通常授業ではなく放課後講座ということになる。普通の授業とは異なるので、始まるのは2月になってからである。

今年になって初めて編入センターに足を運ぶと、ドアを開けてすぐ目の前の机に陶山先生と2人の生徒が座って喋っていた。

「あ、どうも」

「おぉ、町田。いいところに来たな。今ここにいるのは今年東北大と埼玉大に受かった先輩たちだよ」

「え、そうなんですか!初めまして。町田と言います」

「先生、これがさっき言ってた1年生?」

「そうだよ。ビジネスキャリア科だ」

先輩は2人いて、そのうちの埼玉大に受かった人は堀田さんで、東北大に受かっ人は河野さんだ。

この2人は僕にとって目指すべき目標であり、ついていくべき存在であるということを一瞬で理解した。

「おっす。河野です。町田、よろしくな」

「堀田です。よろしく」

「それにしても、ビジネスキャリアから編入目指すってめずらしいな」

「おいおい、河野。ビジネスキャリアは、まだできて2年目だから当たり前じゃないか」

「あぁそっか。そうだったな」

「じゃあ、町田。とりあえず2人からいろいろと話してもらいなよ。俺はちょっとこれから作業するわ。まだ小論文講座のテキストができてないからな」

「分かりました。すごくありがたいです」

「そんな固くならなくていいよ。どうせこいつら試験終わって暇を持て余してるからな」

「確かにそうだ(笑)」

と、ゲラゲラと笑う河野さん。

「かわいい後輩にいろいろ教えますよ」

と、やる気満々の堀田さん。

「あ、あの、お2人ともすごいですね」

「そんなことないよ。俺の場合は結構ギリギリに始めたから、東北大の合格も奇跡みたいなもんだったよ。ホリはひたすら面接の練習したから受かるのは当たり前みたいなもんだったよな」

「それでも絶対ってないからな。あのときは地獄の面接トレーニングだったよ」

「東北大の試験の内容ってどのようなものなんですか?」

「東北大はすべての試験をするから、一応編入学の部類でもレベルが高いところになるんじゃないか?河野」

「まぁ、そうだな。といっても一般受験に比べたら簡単だよ。専門科目の内容も決してムズくはないし。

東北大の試験内容は、まずTOEICの提出な。TOEICのスコアを100点満点に換算する必要があるから、スコアを10で割ったものが自分の英語試験での持ち点になる。

次に専門科目。6科目ある中で2科目を選択して解く。それぞれ50点で足し合わせて100点満点。その2科目って、だいたいの受験生は経済学と経営学を選択するんたけどな。

最後に100点満点の小論文。東北大の小論文は結構書かせるんだよな。毎年1000文字以上は書かせる。そして毎回自分の意見を書かせるから、編入学の中では東北大のは結構面倒だな。
※この小説の試験内容は、2015年当時のものをもとに作成されています。

これら3つを足し合わせた300点満点でそれなりの点数取ってれば、一次試験合格ってことだ」

「え、これで終わりじゃないんですか?」

「このあとに2次試験で面接があるんだよ。でも、東北大の面接試験は厳しくないから。相当なトンチンカンなことを言わない限り受かるよ」

「ということは、正念場は1次試験ということですか?」

「そう」

「なるほど。埼玉大の面接ってそんなに厳しいんですか?」

「それはホリの担当だろ?」

「んー、それはあくまでも噂だな。面接をする先生によるな。俺の場合は練習しすぎて逆に本番が簡単に思えちゃったよ(笑)」

「何回練習したんですか」

「50回以上かな」

「す、すごいですね」

「自分でもやりすぎたと思ったよ(笑)。でも埼玉大はTOEICと面接しかないから、当然面接へのウェイトは高くなる」

「確かにそうですね」

「東北大の場合はあくまでも確認程度の面接だけど、埼玉大の面接場合は面接もガッツリ評価に入ってくるから、同じ面接でも大学によって位置づけは違ってくる」

「両方とも思ったより大変なんですね。俺、大丈夫かな」

「今のうちから本気で勉強頑張ってるんだろ?大丈夫だよ。絶対受かるよ」

河野さんが笑顔でフォローしてくれた。

「ありがとうございます」

「町田、いまTOEICいくつある?」

「いま705です」

「この時期で700持ってるんならTOEICはほとんど大丈夫だろ。あともう少し頑張れば滋賀大は滑り止めいけるな」

「滋賀大ってそんなに簡単なんですか」

「TOEIC800取って面接もしっかりと答えられたら大丈夫だ」

「そ、そうなんですね」

僕はいまだに滋賀大学への編入が河野さんが言ってるほど簡単のは思えなかった。

「滋賀大は試験内容的にTOEICが高い人を取るからどうしてもここから受ける人が多くなるし、合格する人も多い。

毎年30人くらいは取るんだけど、その3分の1はうちからだよ。だから、滋賀大学はうちの生徒大好きだし、うちにとってもかなりありがたい編入先だよ」

「合格者の3分の1がこの学校から出てるすか。凄まじい話ですね。先輩方も受けてるんですよね?受かったんですか?」

「まだ結果出てないよ。1月下旬に出る。受かっても東北大行くけどな」

「そりゃそうですよね」

「にしても、面接は9月にあったのに、結果出るのは1月って待たせすぎだろ(笑)」

「確かにそうだな」

ホリさんも苦笑していた。

「今のうちに何かしておくべきことってありますか?」

最初にホリさんが答えてくれた。

「そうだな。この時期はTOEICをできるだけ上げといた方がいいな。1年の間に800取ってたら、あとがかなり楽になる。2年になったら専門科目、小論文とかいろいろと大変になるからな。恥ずかしいことに俺はこの時期はまだ600で、2年生になってもやらないといけなかったから、かなり苦労したよ」

「それ、ものすごく説得力ありますね」

次に河野さんが意外なことを言った。

「今のうちに遊んどけ」

「え?」

「どうせ2年生になったら毎日勉強漬けで遊べなくなるんだから、今のうちの遊ぶべきだと思う。とりあえず今はTOEICだけやっとけばいいよ」

「分かりました。ありがとうございます。これからも頼ることがあると思いますが、よろしくお願いします」

「町田なら絶対受かるよ。今のうちからこんなに頑張ってるんだから、絶対にいける」

河野さんから最高のエールを頂いた。

「おまえなら大丈夫だよ。俺らでよければいろいろとサポートするよ」

ホリさんからもありがたい言葉を頂いた。

「自分なら合格できる」という根拠のない自信を得たような気がした。

・・・・


15話は以上です。「今のうちに遊んでおけ」というアドバイスは、編入試験という長く孤独な道を選ぶ人のモチベーション維持に非常に有効なものだと言えそうです。

一点、小説内にも記載がありますが、本小説の中での試験内容は2015年時のもので現在とは異なっている点にはご留意ください。

ぜひ、この小説を通して、編入試験に多くの方にチャレンジするようになれば幸いです。

次の更新は、5/24(金)20:00です。お楽しみに!

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