小説・コラム

小説 『編入』#19 第三章③

小説編入イメージ

梅雨明けも近づき、夏本番という気候になってきましたがいかがお過ごしでしょうか? 体調管理には気をつけて、編入試験に臨みたいですね!

さて、今週もやってまいりました!毎週金曜日20時投稿の連載記事である編入小説『編入』のコーナーです。

この連載では、「世の中の多くの人に大学編入を知ってほしい!」、「転職するように、自由に大学に移れることが当たり前の世の中にしたい!」という想いを実現するための私たちの活動の一環です。

大学編入を専門としているメディアであるTrask(トラスク)では、この小説を通して、多くの方に大学編入を知ってもらいたいと考えております。

さらには編入を志望するすべての方にフィクションではありながらも、編入した先輩の実話を元にした作品を通して、実際の編入試験のイメージを持ってもらい、合格の一助となれればと考えております。

ぜひ、周りのご友人やご家族にシェアいただけると幸いです!

著者プロフィール

濱田 友来人(ハマダ ユクト)

平成7年生まれ。熊本県熊本市出身。
高校卒業後上京し、専門学校神田外語学院に入学。同学校卒業後、そこで培った経験や学びを活かし、4年制大学に3年次編入。
現在は執筆業、FXトレーダー業を主軸に活動しながらも、自らが掲げている「限りなき挑戦」という理念の下、上述した以外のことにも上述した以外のことにも挑戦している。
趣味はゴールドジムでの筋力トレーニング。



#19 第三章 『編入学試験を受けるということ』③

・・・・

初々しい季節はとっくに過ぎ去り、暑くなりだす時期になった。

一番初めの放課後講座から1ヶ月が経ち、徐々にではあるが慣れてきたところだ。

最初はどうなるかと思っていた。実際にやってみると、僕が思っているよりも(なぜかはよく分からないのだが)案外なんとかなった。

時間の使い方ではまだ反省点はいくつかあるが、それを改善すると今よりも効率よく行動できる自信があった。僕の心は晴天というほどではなかったが、結構晴れていた。

ゴールデンウィークが過ぎた5月中旬、僕は編入センターで陶山先生とあることを話していた。

「志望理由考えないといけない時期になったな」

「志望理由ってどういうことですか?」

「文字通りだよ。その大学に編入したい理由を考えるんだよ。面接で聞かれるから」

「あー。そういうことですか。志望理由・・・。全然考えてなかった(笑)」

「まぁ、それが普通だよ」

「志望理由って言っても、これからのキャリアを考えたときに高い学歴を持っておいて損はないから、みたいなことしか思い浮かびませんよ。あと、人生で大きなチャレンジしたいとか、恩返ししたいとか、そういうことでいいんですか?」

「さすがに本音を暴露に出したらダメだよ。ちゃんとそれにふさわしい建前の理由が必要になってくるんだ」

「建前の理由って?」

「結論から言うなら、大学でどんな研究をしたいか、ってことだよ」

「研究ですか」

「そうだ。大学というのはあくまでも研究する施設。とりわけ旧帝大を含めたレベルの高い大学となると、教授の先生たちは日本を代表する研究者がたくさんいるんだよ。

編入学では、あくまでもその大学に入って自分が研究したいことを明確にしておかないといけない。しかも編入は基本3年次編入だから、通常の大学であればその年からゼミが始まる。もともといた学生は2年次のときからあらかじめどんな分野のゼミで学びたいかを選んでいる。そういう意味でも自分がしたい研究を考えておく必要がある。

つまり、『私は貴学で○○の研究をしたいので編入したいです』ということになる」

「志望理由って受ける大学の数だけ作らないといけないんですか?」

「そんなことないよ。ひとつ作っておいて、あとはそれを使い回しでいい」

「ホッ、よかった。いくつも志望理由作るのは面倒ですよね。でも、志望理由って就職活動みたいにその大学でないといけない理由とかも必要になってくるんじゃないんですか?そうだとすると、志望理由って受ける大学の数作らないといけないんじゃ・・・」

「いや、その必要はないよ。いいかい。編入学の面接と就職活動の面接をごっちゃにしてはいけない。編入の面接では、その大学でないといけないっていう直接的な理由はいらない。ぶっちゃけた話、相当マニアックな研究以外だったら、大抵の大学で研究できるんだよ。

それに面接官をするのは、基本は先生方だ。大学の教授は本来は自分の研究室で研究する人だから、自分の研究分野以外にはあまり関心をもたない人が多い。だから、他の大学がどうのこうの、みたいな話にはならないし、極端な話どうでもいい」

「そうなんですか。それは受験生的にはありがたいですね」

「というわけで、研究したい分野として町田はどんなことに関心あるの?」

「ん~そうですねー。今思いつく限りでは、リーダーシップですかね」

「ふーん。それはなんで?」

「将来社会人になったき、ガンガン出世して周りを引っ張っていける存在になりたいなーって思ってるんですよ。そうなってくると、周りの人たち巻き込んで目的に向かっていけるリーダーシップが必要になってくるのかなって。

周りの人のモチベーションを上げてついてきてくれてくれるようにするためにはどんなリーダーシップを発揮すればいいのか的なことを研究してみたいですね」

「なるほど。それでいいんじゃない?」

「え、そんなんでいいんですか?」

「だって、それガッツリ経営の分野だし。あとリーダーシップの研究やってないっていう大学ないでしょ」

「ならそれでいきます」

僕が研究したいことはすんなり決まってしまった。

僕は編入センターを出たあと、すぐに自習施設に向かった。

このあとはビジネスリサーチの集まりがあるのだ。だが、予定時間より先生と喋っていたため、集まる時間に少し遅れてしまった。

「ごめん、遅れた!」

「ケン、遅いよー」

智花が少し不満げに言った。

「ちょっと、前の予定が押しちゃってさ。さ、はじめよっか。みんな何か興味あるなーって思うトピック見つけてきた?」

はじめに、美紗が答えた。

「私は犯罪者の異常心理学に興味あるかな」

「い、異常心理?なんで?」

「犯罪を犯した人がどんな考えしてるのか、興味あるなって思って」

僕は3秒ほど固まってしまった。普段は大人しい美紗がこんなトピックに興味持つなんて。

目の前に座っている智花もミシェルも結構引いていた。なに言ってんだこいつ、みたいな感じで美紗を見ていた。

僕は一応チームのリーダーなので、周りの意見は殺さず尊重する役回りをしなければいけない。とりあえず、保留ということにしといた。

次にミシェルが話した。

「ワタシは日本人と外国人の距離感の違い、そこに関わる文化の差異について研究したいですネー」

「なるほどね。それ俺も興味あるよ」

さすが外国人の親を持つミシェルらしい視点だなと思った。

僕も日本人と外国人とでなぜこうも距離も縮め方やノリ良さが違うのか興味があった。そこには間違いなく文化や価値観が関係しているのだろう。これからの外国人とのつき合い方やダイバーシティが騒がれる時代で、研究以外でも大いに役に立つと思った。

そして智花がこう言った。

「うち、2つ考えてきたんだよね!ひとつはカップルのペルックについて。なんで最近は町に行くとカップル同士で同じものを着てるんだろうって思うんだよねー。ディズニーでもよくいるじゃん!うちはそんなことしないけど、アパレルのバイト先でよくカップルがお揃いの服買っていくから余計気になっちゃってさー」

僕は一瞬ものすごく恥かしくなった。というのも、まさしく僕と琴音はその当事者だったからである。ディズニーに行くときはミッキーとミニーのTシャツで遊びに行っていたのだ。

こんなこと、みんなの前で言えるはずがなかった。

これは僕の思い出として大切にしまっておこう。

「確かに、そういうカップル最近よく見かけるよねー。ハハハ」

と、自分らのことは棚に上げて智花の発言に激しく同意した。

「あと、もうひとつは若い男のスキンケア!」

「あー、最近は男もスキンケアやってるよね。面白そうだね」

「ケンはなにかありまーすカ?」

「うん。リーダーシップについて」

「えー、それなんか硬いからヤダー」

智花が間をあけずに即答した。

僕のアイデアは即座に却下された。

「まぁいいんだけどさ。ならみんなが言ってくれた4つの中からどれがいいかなー。もうそろそろ俺らの研究テーマ決めようぜ」

「ワタシ、スキンケアしたいデース!」

ミシェルはすでにスキンケアに興味津々だった。

「私もスキンケアいいと思うな」

美紗もスキンケアにはやる気があるようだ。

「美紗は異常心理はもう大丈夫なの?」

「うん。大丈夫。スキンケアの方が面白そうだし」

「そっか。オッケー。智花はスキンケアの方でいい?」

「本当はペアルックの方がしたいけど、みんながスキンケアがいいんならそれでいいよ!」

「ならスキンケアにしよっか!」

思ったよりすぐに決まってよかった。

「なら次の授業までにスキンケアに関する資料とかデータ持ってきてね」

みんなも同意したので、これでグループの集まりを終えることにした。

・・・・


19話は以上です。編入試験では、対策がしにくい傾向にある志望理由ですが、19話では、非常に分かりやすく決め方やその例が紹介されていました。

今回は、編入独学勢の方にとっては専門的な対策を実施している機関の貴重な対策方法について聞けることができる回でしたね。

ぜひ、この小説を通して、編入試験に多くの方にチャレンジするようになれば幸いです。

次の更新は、6/28(金)20:00です。お楽しみに!

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