小説・コラム

小説 『編入』#20 第三章④

小説編入イメージ

夏に近づき暑くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか?もうそろそろ夏休みの旅行を計画していきたい時期にもなってきましたね!

さて、今週もやってまいりました!毎週金曜日20時投稿の連載記事である編入小説『編入』のコーナーです。

この連載では、「世の中の多くの人に大学編入を知ってほしい!」、「転職するように、自由に大学に移れることが当たり前の世の中にしたい!」という想いを実現するための私たちの活動の一環です。

大学編入を専門としているメディアであるTrask(トラスク)では、この小説を通して、多くの方に大学編入を知ってもらいたいと考えております。

さらには編入を志望するすべての方にフィクションではありながらも、編入した先輩の実話を元にした作品を通して、実際の編入試験のイメージを持ってもらい、合格の一助となれればと考えております。

ぜひ、周りのご友人やご家族にシェアいただけると幸いです!

著者プロフィール

濱田 友来人(ハマダ ユクト)

平成7年生まれ。熊本県熊本市出身。
高校卒業後上京し、専門学校神田外語学院に入学。同学校卒業後、そこで培った経験や学びを活かし、4年制大学に3年次編入。
現在は執筆業、FXトレーダー業を主軸に活動しながらも、自らが掲げている「限りなき挑戦」という理念の下、上述した以外のことにも上述した以外のことにも挑戦している。
趣味はゴールドジムでの筋力トレーニング。



#20 第三章 『編入学試験を受けるということ』④

・・・・

編入の勉強が調子づいてきたところで、僕らはその途中経過を試すときが来た。

7月の上旬に群馬大の受験を受けるのである。そして、その日は明日に迫っている。

先生とその話をしたとき、最初この受験は僕らにとっては早すぎるのではないかと思ったが先生は、

「別に結果はどうでもいいから、まずは編入試験ってこんなもんなんだっていう経験だけでも積んでおいた方がのちのち役に立つ」

とのことだった。

群馬大に経済学部はないが、その代わりに社会情報学部があり、そこの試験では専門科目の中で経済学と経営学を選択できるので、僕らは受験することができた。

といっても、専門科目の方はまだ全然進んでおらず、1学期の後半がようやく始まったくらいの進み具合だったので、おそらく全然太刀打ちできないだろう。

残る試験科目は筆記試験の英語と面接である。群馬大の英語の試験はTOEICの提出ではない。僕らははじめはTOEICを課す大学しか受けないつもりだった。

なので、英語も専門科目同様、おそらく太刀打ちできない。

面接に関しても、6月はじめに志望理由書をようやく書き終え、中旬から練習を始めたので、自信はとてもあると言える状態ではなかった。

つまり、今回の受験は最初から落ちることが前提の試験なのである。

正直なところ、このような位置づけでの受験は一般受験ではまったく考えたことなかったのであまり気持ちは乗らなかった。

この受験は一番行きたい大学に向けての先行投資なので、ここは先生の言うことに素直に従った。

「ここで逆に受かってしまうと、のちのちよくないかもしれない」

「どうしてですか?」

「モチベーションが続かなくなってしまうからだよ」

「本番受けるまでにひとつ受かってしまってるからもういいや、ってことですか?」

「そう。過去にも群馬大学に受かったばっかりに、もともと一番行きたかった大学受けるのをやめて、そこに行ってしまったっていう先輩がいるからな」

「僕的にはそういう人がいてくれれば、ライバル減るんでありがたいですけどね」

「まぁな。お前にとってはその方が楽だな。
じゃあ明日頑張ってこい」

「はい。行ってきます!」

僕は編入センターで勉強しているジーコと菜奈と一緒に学校を出て、高崎線で前橋に向かった。

 

 

約2時間かけて目的地に着いた。

僕らは高崎線で初めてグリーン車席に乗った。

「プチ旅行みたいなもんだからさー、せっかくだしグリーン車乗っていこうよー」

「菜奈、旅行って(笑)。明日受験だぜ」

しかし、今回に限ってはジーコも菜奈の意見に賛成で、

「グリーン車くらいよくね?快適な方が明日の体調のためにもいいっしょ」

「さすが、ジーコだね。わかってるー!」

というわけだ。

駅近くのホテルのフロントでチェックインを済ませた頃には、午後7時を過ぎていた。

「たしか、今回のホテルの予約は菜奈に任せてあったよね?」

「チェックイン済ませてきたよー。はい、鍵」

「え、ひとつ?」

「そうだよー」

てっきり部屋は2部屋取ってるのかと思った。僕一人でジーコと菜奈2人か、菜奈一人でジーコと僕で別れるかはどっちでも良かったが、少なくとも僕と菜奈が同じ部屋になることはないだろうと思った。

が、答えはそのどちらでもなく3人とも同じ部屋であった。

「大丈夫なの?俺が2人と一緒の部屋で」

「別にいいよー。そこらへんは気にしてないよ」

「ケン、気にすることじゃねーよ。俺らは3人でチームだろ?」

「そ、そっか。ありがとな」

僕はこの言葉を言われてとても嬉しかった。

2人が親友で本当に良かった。

部屋に行き、荷物を置いたあと、すぐさま夕食を食べに出かけた。

食事を終えたあと、ゆっくりと温泉に浸かり、夜10時前に再び部屋に戻った。

移動疲れでもうすでに眠たくなっていたので、僕らは明日の準備をしたあと、ベッドで横になっていた。

「ついに、明日初陣だな」

真っ暗な中、ジーコがつぶやくように言った。

「経験を積むための受験とは言え、緊張するな」

「気楽に行こうよー」

「そうだな。ならもう寝るか」

「おやすみ」

 

 

翌日、僕らは目覚めて食事を取ったあと、受験の支度をして、あらかじめ呼んでおいたタクシーに乗ってそのまま受験地に向かった。

タクシーから降りた瞬間、体が蒸発しそうな暑さに見舞われた。

群馬県は立地上、盆地と呼ばれる土地なので、熱を集めやすく余計に熱気が漂ってしまう。

熊本の夏もなかなかに暑いのだが、群馬の暑さはそれよりももう一段階暑かった。

スマホで天気を調べてみたら、今日はいつもよりもタチが悪い暑さらしく、猛暑日となっていた。

試験会場の教室に足を踏み入れると、すでに大勢の受験生が席に座っていた。

ざっと100人くらいといったところだろう。

僕らはそれぞれ自分の受験番号が書いてある席に座って、5分ほど最終チェックとしてノートを眺めていると、試験監督の先生たちが入ってきた。

「では、これから今年度の群馬大学社会情報学部の編入学試験を始めます。これから試験場の諸注意を説明したあと、問題用紙と解答用紙を配りますので、机の上は筆記用具と時計のみにしてください」

ついに、始まる。僕は多少の緊張を体中にまとっていた。

まだレベル的には十分ではないが、僕は今この試験を受けている。

もちろんここで成果を出せるとは思えなかったが、僕はこの経験から何か学べることはないかと、必死に探そうと決めた。

なぜなら、受験料だけで3万円も払っているからだ。

編入学試験の受験料は一般受験より高い。

国立大は3万で、私立大は3万5000円もする。

受験料は親から出してもらっているので、絶対に無駄にするわけにはいかなかった。

試験が始まるほんの数秒、僕は精神統一して目をつぶった。

そして、第一陣は幕が切られた。

「では、試験始め!」

英語の試験が行われた。

・・・・・

60分後、英語試験が終わり、10分の休憩を行ったあと次に専門科目の試験が行われた。

さらに60分が経ち、筆記試験は無事終えた。

筆記の英語試験はまったく対策してない割にはできたと思ったが、専門科目の経済学と経営学に関しては予想通りまったくできなかった。

この次は、30分の食事休憩を取ったあと、面接が控えている。

面接は受験番号が早い順から始まる。全員が同じ日に受けることになるので、時間差となる。

僕の受験番号は1番なので、一番最初である。

編入学試験では、実はこの受験番号が結構大事だったりする。

群馬大のように筆記試験と面接試験が同じ日に行われる大学は、受験番号が後の方の受験生は時間が来るまで待たされることになる。

自分の時間が来るまでヒヤヒヤしながら緊張しているので、ある意味この時間は地獄の待ち時間なのである。

このことは陶山先生からしっかりと聞いていたため、僕は願書を受付日が始まってすぐに到着するように計算して送った。

だが、ジーコと菜奈はかなりバタバタしていたらしく、受験番号は半分より少し後の方になった。

半分といっても2人の面接時間は僕より1時間以上も後だった。2人が少しかわいそうに見えてきた。

僕の面接は大体のことは先生と練習したことだったので、無難にこなすことができた。

2つほどイレギュラーな質問はあったが、そこは正直にわからないと答えた。

面接を終えたあと、僕は2人を待つために食堂で時間を潰し、1時間ほど経ってから2人がやってきた。

「お、終わったか。おつかれー」

「おう。意外と疲れるな」

「あーもう動けなーい。帰るのめんどくさいよー」

「まぁとりあえず、これはこれでということで」

「そうだな。この時間なら、今から電車に乗れば、5時くらいには学校に着くか」

「じゃあ、行こうか。先生に報告しよう」

「ちょっとー、ケン。もう行くのー?」

「え、これ以上ここにいても何もすることないでしょ。早くしないと置いていくよ」

「はいはーい。分かりましたよー」

 

僕らは群馬大の正門に来るバスに乗って、前橋駅に行った。そこから電車に乗って、学校へと帰還した。

「おう、おかえりー。汗だくだな」

「群馬は殺人的な暑さでしたよー。もう絶対に行きたくないですね」

「そ、そうか(笑)」

「はい、せんせー。これ問題です」

先生は1分ほどで問題をサッと眺めた。

「ふーん。今年はこれか。これれはまだやってないから解けなくて当たり前だな」

「編入の試験って意外と疲れますね」

ジーコが疲れた顔で言った。

「そうだな。この季節だと特にだな」

一通り僕らは試験のことを報告したあと、少しの時間編入センターで休憩して、家に帰った。

編入試験の感覚を少しだけ掴めた、そういう一日だった。

・・・・


20話は以上です。いかがでしたか?

今回は、試験当日の雰囲気や前日までの動きについて知れる貴重な回だったのではないでしょうか。遂に1校目の受験を終えたケンローですが、結果はいかに!?

次の更新は、7/12(金)20:00で、来週はお休みさせていただきます。大変申し訳ないですが、よろしくお願いします。では、次回もお楽しみに!

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