小説・コラム

小説 『編入』#22 第三章⑥

小説編入イメージ

学校の休み期間に入り試験対策もここからが本番ですが、いかがお過ごしでしょうか?この夏の積み重ねがのちに重要となってきますので、気を抜かないようにして頂けばと思います!

さて、今週もやってまいりました!毎週金曜日20時投稿の連載記事である編入小説『編入』のコーナーです。

この連載では、「世の中の多くの人に大学編入を知ってほしい!」、「転職するように、自由に大学に移れることが当たり前の世の中にしたい!」という想いを実現するための私たちの活動の一環です。

大学編入を専門としているメディアであるTrask(トラスク)では、この小説を通して、多くの方に大学編入を知ってもらいたいと考えております。

さらには編入を志望するすべての方にフィクションではありながらも、編入した先輩の実話を元にした作品を通して、実際の編入試験のイメージを持ってもらい、合格の一助となれればと考えております。

ぜひ、周りのご友人やご家族にシェアいただけると幸いです!

著者プロフィール

濱田 友来人(ハマダ ユクト)

平成7年生まれ。熊本県熊本市出身。
高校卒業後上京し、専門学校神田外語学院に入学。同学校卒業後、そこで培った経験や学びを活かし、4年制大学に3年次編入。
現在は執筆業、FXトレーダー業を主軸に活動しながらも、自らが掲げている「限りなき挑戦」という理念の下、上述した以外のことにも上述した以外のことにも挑戦している。
趣味はゴールドジムでの筋力トレーニング。



#22 第三章 『編入学試験を受けるということ』⑥

・・・・

セミの鳴き声が僕の家中に響く朝、僕はゆっくりと目覚めた。セミの大きな鳴き声を聞いたのは久しぶりだ。いや、でもセミはもう少し前から鳴き始めてもいいんじゃないか?

8月で始めて聞くのはさすがにおかしい。となると、僕の季節に対する感性が完全に狂っているということだ。

季節の風物詩をここまで遅くなって意識していたので、僕はいろいろな意味でゾッとしてしまった。

ほとんど毎日勉強漬けの生活を送っている僕だが、100パーセント編入の勉強だけやっていおけばい良いというものではない。

他にも、僕にはやるべきことがある。

ビジネスキャリア科のビジネスリサーチである。その作業は夏休み中であってもグループ内でのワークは続けないといけないのだ。この夏休み期間ではアンケートを配り、その結果を回収する。アンケートの対象者は、都内の大学生、専門学校に通う男子学生(18~22歳)で、

その聞く内容は、

「学生時代に他人の目を意識したか?」

「スキンケアを始めたっきかけは?」

「理想の男性像はいるか?」

などである。

ここまでは決まっていたが、まだその詳細やもう少し聞きたい内容を増やすことを話し合うためにグループで集まる予定だった。

夏休み期間は学校ではなく、東京駅近くのカフェで待ち合わせすることにした。

「うち、このアンケートで肌トラブルのことについてもうちょっとだけ突っ込んで聞きたいな!」

智花が楽しそうに言った。

「うん、それは結構大事な部分かもしれないね」

次に美紗がこう発言した。

「家族の関係って意外と重要じゃないかな」

「というと?」

「お母さんや女姉弟からすすめられてスキンケアやってみたとかあるんじゃないかなって。私の弟とかがそんな感じなの。お母さんがメンズスキンケアの商品買ってきて半ば強制的にさせられてたよ」

「あー、確かに。そういうのありそうだな。オッケー、この要素も入れよっか」

「でもあんまり質問多くなると、アンケート答える人ツラくないデースか?」

ミシェルが良い指摘をしてくれた。

「それもそうだね。アンケートに答える人にできるだけ負担やストレスがないようにしないといけない。だから量的には表裏1枚で完結するようにしたいところだね」

グループワークは思ったより順調に進んだ。

この時間内におおむね話したかったことも終わらせることができた。

あとは、このアンケートをどう配るかであったり、そのあとの大まかな方向づけを決めたかった。

「俺らのグループのアンケート数のノルマは200枚だから、一人50枚集めるでいいかな?」

「うん、それでいいよー」

「わかった」

「ハイ、それでいいデース」

3人とも了承してくれた。

「よし。あとは夏休み以降の予定も大まかにはきめておきたいな」

美紗が言った。

「9月になってアンケートを配り始めて、中旬からインタビューして、下旬から分析開始してって感じじゃないかな?」

美紗がこのグループにいて良かった。普段はとてもしっかりしているので、その部分には本当に感謝している。

「ならその予定でいこうか!今のところ順調に進んでるから、いけると思うよ」

というわけで、今日のグループワークは終了した。

このあと僕は学校に行き、自習施設で勉強することにした。

決して、編入学もビジネスリサーチもずっと順調にいくとは思わないが、決して暗くもないとも思った。

だから僕は淡々とやるべきことをするだけだ。結果が出るまですっと。淡々と。

 

    

 編入の勉強とビジネスリサーチを進めていくうちに、気がついたらもう夏休みが終わりそうになっていた。残り3日しかない。

今年の夏休みは充実してたといえば充実していたな。といっても、さっき言った2つしかほとんどしてないのだが。

あっという間だった。1日が過ぎていくと当然試験日に近づいているので、日に日にプレッシャーが大きくなっていくはずなのだが、なぜか僕はこの日々を楽しんでいた。それはどうしてかよく分からないのだが、すごく楽しい夏休みを過ごしていた。

そういえば、去年はTOEIC合宿に行ったっけ。 

約10日間山奥にイギリス風の土地の建物でみんな缶詰めになってひたすらTOEICの勉強をしていた。

懐かしいな。1年前なのに、なんだか5年前のように感じる。

この夏休みの期間も早く感じていたが、それよりも僕が熊本から東京に来て現在にいたるまでの時間もものすごく早く感じた。

僕は基本的に前に突き進むタイプなのだが、たまにはこうやってこれまでの行動や思い出を振り返ることがある。

その時間は、勉強しているよりも自分の世界に入り込んだような感じになる。

そして我に帰ったときには平気で1時間くら経っている。

僕がこれまで歩んできた人生は全体的には決して間違っていなかったのだと思っている。

高校時代は、正直なところやり直したいという気持ちはなくはないが、それはそれで必要な経験だったのかもしれない。

それでこそ、今の僕があるのだとひしひしと感じる。

とりあえず、僕は一日一日を大切に過ごしていかないといけないと改めて肝に銘じていこう。

ピー。

電話の着信音が鳴った。ジーコからだ。

「もしもし」

「ケン?駅に着いた。なんかいるものある?」

「あ、もう着いたのか。意外と早かったな。んーそうだな、コーラとかお菓子もろもろ頼むわー」

「りょうかーい」

そういえば、今日はジーコが家に来るんだった。すっかり忘れてた。

夏休みももうすぐ終わりということで、ジーコが泊まりに来たいとのことだった。

ジーコはこれまでに何度も僕の家に来ていたのだが、今回はジーコ一人だ。いつもは菜奈も連れて来てるんだが、なぜか今日はジーコ一人だった。

その理由は特に聞いていないが、なにか特別2人でないといけない事情でもあるのだろうか。

15分後に家のベルが鳴った。

「うい。入っていいよー」

「おじゃまー。ほい、買ってきたぜ!」

「お、サンキュー」

「今日は夏休み最後にケンの家に来たかったんだよ」

「今回はどうして一人で来たの?菜奈となんかあった?」

「いや、別に喧嘩とかしてねーよ」

てっきりなにかあるのかと思っていたが、ジーコの回答に呆気にとられた。

「じゃあなんで?」

「久しぶりに男2人で話したくてな」

「語り合うってやつか」

「まぁそんなところだ」

「って言われても何語り合うんだよ(笑)」

「そうだな。将来の話、とか?そういえばさ、俺ら2人でそういう話したことなかったよな。編入の話ならもういいってくらいしたけどな」

「言われてみると、確かにそうだ」

「だろ?ケンは将来どうなりたいのよ」

「将来ねー。正直なところ、編入したあとのことは具体的にどうなりたいか考えたことないな」

「あ、そうなのか。ケンだからそういうのは結構考えてると思ってたんだけどな」

「編入のことで頭がいっぱいになってるってのもあるんだけど。そういうのは、編入してからでいいかなって。

でも、短期的じゃなくて長期的に計画してどんな人生を歩んでいきたいかは、今からでも考えていった方がいいのかなって思うことはよくあるよ」

「やっぱりそれでこそ俺が知ってるケンだよ。具体的な像までは立ててなくても、そういう部分はしっかりと考えてるところ」

「なんかちょっと無意識に将来考えるのを避けてたのかもしれないな」

「どうして?」

「将来社会に出て、自分がちゃんとした大人になれるのかどうか不安になるんだよ。だからどこかで逃げてたのかもしれないな」

「誰にだって不安はあるさ。どの選択肢を取ってもリスクはあるしな。だけど俺はしなかった後悔よりも、した後悔の方をしたいよ。人生のチャンスは一度しかないからな」

「そうだな。それでジーコはどうなりたいの?」

「俺は将来自分のビジネスを持ちたいよ。要するに、起業したいってことさ」

「どうして起業したいの?」

「一生雇われの身はなんかイヤだなーって思ってな。俺は自分が起業して会社を運営して、ビジネスで成功したい。そして人生を謳歌したいんだよ。お金を稼いで好きなときにどこでも行けるような成功者になりたい。あ、あと、俺は将来家庭を持ちたいよ。子どもが大好きでさ!そんで、家族で世界中のいろいろなところに連れてってあげたいんだ。菜奈と結婚するかどうかはわからないけどな(笑)」

「自分のビジネスを持って、本当に好きなことをする人生を送るか。そして、プライベートでも幸せな家庭を築づく。それいいな。決して生易しい道のりではなさそうだけど、それを乗り越えた先にはきっと素晴らしい景色が待っているんだろうな」

「あぁ。俺はそういう人生を送りたいと思ってるよ」

ジーコの人生設計を聞いて、僕は彼にこれまでにない敬意を示した。

話を聞いて僕もなにかが浮かんだ。

「お、そうだ。俺もなんとなくだけど、なりたい目標みたいなのはうっすらと見えてきたよ」

「どんな?」

「自分の才能が活かせる分野で活躍したいな。その才能がなんなのか、どれが自分に向いてるのかまだ全然分からないけど、編入したあとはそれがなんなのかを探す2年間にしたいな」

「自分の才能を活かすか。ケン、かっこいいな」

「あとお金はたくさん稼ぎたいな。これはジーコの考えと似てるけど、常にお金の心配をしなくていい生活を送りたいよ。そうだな。1億くらいは稼げる人間になりたいな」

「1億は大きく出たなー。でもそれくらいの目標をドーンと構えるくらいでちょうどいいんじゃねえか?」

「そうなると、普通の就職っていうレールの延長線上には俺らの目標はないってことか。ということはやっぱり独立?」

「まぁ、そうなるか。もちろん、普通に就職して出世して社長になるってう手もアリ?いや、待て。それでも1億は無理だしなにより時間がかかり過ぎる。やっぱり独立してっていう選択肢しかないのか」

「そうだろうな。さっきジーコが言ったように、俺も若くして成功したいよ。若いほうが好奇心旺盛だし、それだけでいろいろなことに挑戦できそうな気がしてさ」

「それいいな!よくさ、若いうちは苦労したほうがいいってよく言われるけど、俺はその考えはなんか違うような気がするよ」

「違うって?」

「自分が苦労するとそれを成功者になったあとで他の人にもそれを強要させそうな感じのニュアンスが含んでそうでさ。俺は苦労したからお前も同じように苦労しろよみたいなさ。そんなことしたくはないんだよ。若いから成功して調子に乗りたいわけではないけど。早ければ早いほどお金持ってたほうがいろいろな経験できるし、なにより人生の幅を広げられるかさ」

「俺もジーコに賛成だよ。いつか成功者としてもジーコとつき合いがあるといいな」

「あぁ。そうだな」

「ジーコと仲良くなれてよかったよ。こんなに語れるやつは少なくとも学校内にはいないな」

「まったく同感だよ。他の人にそんなこと話したら絶対引かれるわ(笑)」

「俺らがこうして語れるようになったのは、あのとき菜奈が俺らをくっつけてくれたおかげだな。感謝しないとな」

「あ、そういえばそうだったな」

「やっぱり菜奈ここに呼んだ方が良かったんじゃないか?(笑)」

「いや、今日はいいよ。また次の機会だな」

こんな調子で僕らはずっと語り合っていた。気がついたら、すでに明け方になっていた。

その日は普通に講座があるのだが、僕たちは気にしなかった。

そうは言ったものの、やはり疲労には勝てず、授業中は何度か眠くなりそうになった。だが、昨日の夜から語り合ったことは僕にとってはものすごく大きな財産になった。編入の勉強よりも何百倍も大きな価値だと思っている。

そんなこんなで専門学生最後の夏休みは終わりを告げた。

2学期からは編入学もビジネスリサーチも正念場を迎える。

正直なところ、僕は不安を感じていた。2つを両立できるか心配だったのである。

でも、やるしかなかった。なんとしてでも結果を出さないと。

夏休みの最終日、僕はその覚悟を決め、後半戦に臨むのであった。

・・・・


22話は以上です。編入の試験では真っ直ぐに向き合っている一方で、もうひとつ大切なことを見落とすことになります。果たして、どうなっていくのでしょうか?次回もお楽しみに!

ぜひ、この小説を通して、編入試験に多くの方にチャレンジするようになれば幸いです。

次の更新は、8/9(金)20:00です。お楽しみに!

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